リチウムイオンバッテリーとは?仕組み・寿命・廃棄と回収の仕方も

【目次】

リチウムイオンバッテリーとは

リチウムイオンバッテリーとは、化学電池の一種であり、充電と放電を繰り返して使用できる二次電池です。使い切りの一次電池や、反応物質を外部から供給して発電する燃料電池とは異なり、電池内部の反応を可逆的に進めることで再利用できるのが特長です。

リチウムイオンバッテリー(リチウムイオン二次電池、リチウムイオン蓄電池とも呼称)は、次の4要素を満たす電池として一般に定義されます。

  • 負極活物質が、リチウムイオンを吸蔵・脱離可能な炭素材料であること
  • 正極活物質が、リチウムイオンを含有する金属酸化物であること
  • 電解液が非水系であること
  • インターカレーション反応に基づく二次電池であること

「リチウム電池」であっても、上記1・2を満たさないものはリチウムイオンバッテリーとは呼びません。高いエネルギー密度と繰り返し使用のしやすさから、携帯機器から電動工具、電動アシスト自転車、電気自動車まで幅広い用途で採用されています。

リチウムイオンバッテリーの種類・特徴

リチウムイオンバッテリーは、主に正極活物質の種類によって分類されます。代表的な5種類の概要は以下のとおりです。


コバルト酸リチウム(LiCoO2

  • 公称電圧:3.7 V
  • 重量エネルギー密度:150~240 Wh/kg
  • サイクル寿命(DOD100%):500~1000回
  • 特徴:リチウムイオンの標準的電池として広く普及していますが、発火の危険性があり、車載用途では用いられていません。

マンガン酸リチウム(LiMn2O4:スピネル構造)

  • 公称電圧:3.7 V
  • 重量エネルギー密度:100~150 Wh/kg
  • サイクル寿命:300~700回
  • 特徴:安全性が高く、急速充放電に対応し、車載用電池の主流とされています。

リン酸鉄リチウム(LiFePO4:オリビン構造)

  • 公称電圧:3.2 V
  • 重量エネルギー密度:90~120 Wh/kg
  • サイクル寿命:1000~2000回
  • 特徴:安価でサイクル寿命・カレンダー寿命が長い一方、公称電圧はほかの系より低めです。

三元系(NMC系:LiNixMnyCozO2

  • 公称電圧:3.6 V
  • 重量エネルギー密度:150~220 Wh/kg
  • サイクル寿命:1000~2000回
  • 特徴:電圧と寿命のバランスに優れ、幅広い用途で用いられます。

ニッケル系(NCA系:LiNixCoyAlzO2

  • 公称電圧:3.6 V
  • 重量エネルギー密度:200~260 Wh/kg
  • サイクル寿命:約500回
  • 特徴:エネルギー密度は高いものの、耐熱性に課題が残ります。


主なセル形状

  • 円筒形:量産性が高く、体積容量密度に優れます。パック化時は形状ゆえの空隙が生じやすいものの、ノートPC、家電、電動工具、自転車、EVなど幅広く普及。
  • 角形:薄型・軽量で、スマートフォンや携帯電話などに採用。外装はアルミが主流で、各種ウェアラブルやセンサー、ハイブリッド車にも用いられます。
  • ラミネート型:外装がフィルムで薄く軽量。放熱性に優れドローン、電動バイク、無人搬送車など移動体用途で多数採用。
  • ピン型:直径3.65 mm・高さ2 cm・約0.5 gの超小型。補聴器、ワイヤレスイヤホン、リストバンド端末などで使用されています。

リチウムイオンバッテリーの仕組み

リチウムイオンバッテリーは、吸蔵・脱離(インターカレーション)にもとづく可逆な酸化還元で発電します。充放電に際して負極活物質の溶解・析出を伴わないため、原理的にデンドライトは基本的に発生しません。

  • 放電時:負極活物質からリチウムイオンが脱離(酸化)し、正極活物質へ吸蔵(還元)されます。電子は外部回路を通って正極に到達し、正極活物質に受け取られます。
  • 充電時:上記が可逆に進行し、リチウムイオンが正極から負極へ戻ります。

リチウムイオンバッテリーの寿命

正常使用下でも、電池は経年で劣化しサイクル寿命を迎えます。ここでいう劣化とは、充放電容量および電圧の自然な低下を指します。主な要因は次の4つです。


  • 電極の変形と活物質のはく離
    吸蔵・脱離の繰り返しで結晶構造が徐々に不可逆変形し、一部がはく離して反応に関与しなくなります。
  • SEI(電極表面被膜)の成長
    経年で厚みが増すと電極と電解質の密着が低下し、内部抵抗が増加。電解液の減少も進行します。
  • リチウムイオン移動量の減少
    金属リチウムの表面析出が進むと、可動のリチウムイオン総量が減少します。
  • BMS(バッテリーマネジメントシステム)の劣化
    回路・ソフトウェアの精度低下によりセルバランス機能が十分に働かず、性能低下を招くことがあります。

一般的なサイクル寿命は500~2000回と幅があり、使用条件によって大きく異なります。

リチウムイオンバッテリーの膨らみ・発火の危険性

リチウムイオンバッテリーはエネルギー密度が高いことが大きな利点ですが、短絡(ショート)など異常時には発熱し、極度な膨れや発火に至るおそれがあります。

また、長時間満充電のまま放置したり、温度変化の激しい環境にさらすと劣化が進み、性能低下だけでなく安全性に影響する可能性があります。メリットを最大化するためにも、こうしたデメリットを理解し、適切な管理・安全措置を徹底することが重要です。

リチウムイオンバッテリーの廃棄・回収について

廃棄・回収はお住まいの自治体方針に従うことが原則です。一般に、電池の種類によって取り扱いは3パターンに分かれますが、いずれの場合も機器から取り外し、端子を絶縁し、回収ボックスや回収協力店に収めましょう。

  • 乾電池・リチウム一次電池:一般不燃ゴミとして廃棄可能な場合があります(端子はセロハンテープ等で必ず絶縁)。
  • ボタン形電池:不燃ゴミでの廃棄は不可。微量水銀を含む製品があるため、回収・リサイクル対象です。
  • 小型二次電池(リチウムイオン、ニカド、ニッケル水素など):資源有効利用促進法により回収・再資源化が義務づけられ、スリーアローマーク(リサイクルマーク)が付されています。コバルトやニッケルなどの金属資源が回収・再利用されます。

リチウムイオンバッテリーの試作プロセス

ここでは、一般的なリチウムイオン電池の試作プロセスについて説明します。近年は、有機系材料の採用や全固体化など新たな電池技術が相次いでおり、常に新技術への対応が求められています。


活物質の合成と粒子化

  • 負極:多くは黒鉛(グラファイト)を使用します。
  • 正極:リチウム含有金属酸化物を用い、組成により特性が変化します。

いずれの材料も微細化が前提であり、用途に応じた粉砕・解砕装置の選定が不可欠です。


電極ペーストの作成

電池特性は分散状態と密接に関係します。導電助剤や分散媒などと組み合わせ、均一で高分散なペーストを調製することが重要です。


電極の塗工と乾燥

ペーストの性状に応じて、最適な塗工方式を選ぶ必要があります。乾燥についても、マイグレーション抑制や乾燥時間の短縮など、解決すべき課題が存在します。


電極の圧密

エネルギー密度や電気的コンタクトの向上を目的とする工程です。一般的には連続式のロールプレスを用いますが、デバイスに応じて1軸圧縮式など別方式を選択する場合もあります。


組立(切断・積層・密封)と試験

目的に応じて、切断方法だけでも複数の選択肢があります。試験は、繰り返し特性の評価に加え、安全性評価も必須です。

リチウムイオンバッテリーについてよくある質問

Q.リチウムイオンバッテリーと一次電池の違いは?

【回答】 一次電池は使い切りで、放電が終わると廃棄します。リチウムイオンバッテリーは充電して繰り返し使える二次電池です。


Q.リチウムイオンバッテリーの寿命はどれくらいですか?

【回答】 サイクル寿命はおおむね500~2000回と幅があります。劣化要因(電極のはく離、SEI成長、リチウムイオン移動量の減少、BMSの劣化)や、満充電放置・高温多湿などの保存条件により寿命は短くなります。


Q.リチウムイオンバッテリーの仕組みを簡単に教えてください。

【回答】 リチウムイオンの吸蔵・脱離(インターカレーション)による可逆な酸化還元反応で発電します。放電時は負極からリチウムイオンが脱離して正極に吸蔵され、電子は外部回路を通って正極へ流れます。充電時はその逆が起こります。

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